安吾の母へのコントロール欲
坂口安吾
母の愛を欲しに欲して、
渇ききって誰よりも貪欲で
それ以外は何も価値が無い
人間の本質はひたすらに母親から受け止めてもらうことだっただろう安吾
「白痴」での女性は母の投影なのかなぁと感じる
無力だけれど剥き出しの「生/自分への愛」だけがある
むしろ彼にとってはそれだけしか欲しくない
人としての理性で自分を評価されたくない
彼女の命そのものは自分の手の内にとどめていたいもので
そんな恥ずかしい彼のマザーコンプレックスが彼女そのものだから
世間にバレることを恐れる
死ぬほどコントロールしたかった母と
母から向けられる(向けられなかった)愛を
手懐けられたと感じた一瞬は
自分の力や存在意義を感じられたものの、
一瞬にしてその満足は幻のように消えていった
もしくは最初からそんなものはどこにもなく
ただ欲求のままにあらがっていた自身の本能の存在にだけ気付いた
「堕落論」は、
安吾が「お前だって同じようにお母さんの愛が欲しかったくせに、じゃあ素直にその本能を出して生きろよ!見せかけだけの美しさを追い求めるより、もっと大事なことがあるじゃないか!それはなによりも第一に僕を愛してくれることだったはずだろう!」と訴えているように見える
そう感じる私自身もまた、心の奥では実は父親にそう感じているのかもしれないね。
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